2014年10月6日月曜日

病気が怖い人、病院が怖い人

先日、ある雑誌で「不眠症」について取材をしました。

取材を引き受けたはいいが、「不眠症」に悩んだことなどいまだかつてない私。

はっきり言って、
「不眠で何を悩む必要がある? 眠くなくてうらやましい」
なんて思っていました。

不眠症のお医者さんに取材するまえに、その先生のご著書や、他の本を読んでみたものの、
どう考えても、「ぜいたく病」としか思えない。

不眠症の多くは、高齢になっていくことで出ることが多く、
そのほとんどは、「寝過ぎ」が問題なんです。
若いうちは、7、8時間必要な睡眠が、年を経るごとに少ない睡眠時間ですむようになる。
ところが、高齢の人は、体を休めたいと、なるべく早く床に入る。
それで、眠れなくなる。
眠りが足りなくなると、寝ていないことに不安が起こり、少しでも寝なければと昼寝をとったりする。
それでますます夜寝られなくなる。
悪循環です。

いずれにしても、
こりゃ病気というほどのモンじゃないんじゃないの?
という不審な気持ちで取材に出かけました。

睡眠が足りないと、「死ぬのでは!?」と不安になる人が多いようですが、死にますか?
と聞いたところ、
睡眠不足で死ぬ病気は、ひとつだけわかっていて、しかもそれは相当珍しい病気らしい。

「足りない足りないと言っても、必要な睡眠はとれているものです。
睡眠不足で死ぬことはまずありません」
と先生。

じゃ、不眠なんか、なんの問題もないじゃない。
ほっておけばいい、と思ってしまう。

昔、世界を旅するハツラツおばあちゃんとして有名だった、斉藤茂吉の奥さんである、斉藤輝子さんが、インタビューで、
「夜は、家にある文学の本を読み始め、徹夜してしまうの」
とおっしゃっていました。
素敵じゃありませんか。
そうよそうよ、不眠なら、本を読めばいいじゃないのよ!

なんだか腹が立ってきた私は、
ついに、先生に、
「あの~、どう考えても、この不眠症って病気、『気の持ちよう』としか思えないんですけど」
と聞いてしまいました。

そしたら、先生。
「うーん、患者さんにとっては『気の持ちよう』っていう言葉は、とても辛い言葉なんですよ」
って。
「それに、気の持ちようで治るかといったら、治らない。かえって、『眠れなかったらどうしよう』と不安になってしまうんです」

私、この言葉で、目から鱗が落ちました。

自分自身が頑丈で健康で超鈍感ときてるため、不調を訴える人に対して、これまで思いやりがなさすぎたんではないかと。
医者嫌い、薬嫌いで、風邪も胃腸炎も気合いで治す! の私だけれど、それができない人もいる。
病気が怖くてたまらない人がいるんです。
病気が怖い人に、「気の持ちよう」「病気を怖がるな」と言ってもダメなんです。

お医者さんって、優しいなぁ、と、その時初めて思いましたよ。

義母は、2年前に手術をしたあと、暑かったり寒かったり、低気圧だったりすると、具合が悪くなってしまいます。
お医者さんに行っても、「どこも異常なし、歩いているんですから大丈夫ですよ」 と言われてしまって、
ダンナに、 「まったく、しんどいだのつらいだの……。気のせいだよ」 と怒られて、「気のせいっていわれてもね……」としゅんとしていたのを思い出しました。
正直、私も気のせい、気の持ちようだと思っていたし。
でも、義母のようなタイプは、
「気の持ちよう」でなんとかしよう、とガンバルと、かえって具合の悪いことをより意識してしまう。さらに自分のことも責めてよけい辛くなるだけなんです。

義母は年のせいで自分の体に対する自信を失っていることもあると思うけど、
若くても、義母のように病気に対する恐怖心が強い人は、いる。
そういう人と話すと、インフルエンザワクチンなんていらないよ、という私とはどうも話がかみ合わない。
まったく困ったもんだと思っていたけど、
そういう人たちは、どこかで、病気が怖い!とトラウマになった体験を持っているのかもしれないです。

ああ、今、わかった。
薬いらない、医者嫌い、ワクチンいらない。
そんなことばっかり言ってる私は、 ちっちゃい頃から病気で怖い思いをしたことがない。
そのくせ、無理やり連れていかれた病院で、薬や医者に対する恐怖心ばっかりを、植えつけられてしまってる。

病気が怖い人、病院が怖い人。
双方を理解することはなかなか難しいかもしれないなぁ。


母里啓子先生と作った4冊目。
これまでの集大成ともいえる1冊です。
近藤誠先生との対談は必読!!
『もうワクチンはやめなさい』10月17日発売です。

 

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